『BUZZ』編集長時代に写真集デストロイの日本版を手がけた鹿野さんからのコメントが到着しました。
■SEX PISTOLS/写真展へのコメント パンクは白と黒がはっきりしている音楽だ。現実世界に白と黒がはっきりしているものなんて殆んどない。だからこそ曖昧や混沌や中間色に彩られた世界に唾を吐いて、一瞬だけ音を立てて世界を壊す愉快犯にパンクはなった。 パンクは死なない。だってこんなにも痛快に、世の中壊した気にさせるアートなんてないじゃないか。誰だって街中で大声で「FU●K!」と叫んで心の底からすっきりしたい。パンクは砂を噛むような現実のど真ん中を生きながら、砂をこするようなディストーション・ギターと共に「FU●K!」ときっちり叫んできた。ジョ二ー・ロットンのコックニー訛りでの「FU●K YOU!」は、70年代以降の最高のアート・フォームだったのかもしれない。だってあんなにもカッコイイ「FU●K!」は、未だにどこからも聞こえてこないからだ。 いつの時代も、純粋すぎるものは滑稽だ。滑稽であることはどこか切なく、何より愛らしい。デニス・モリスが撮ったピストルズと、そのグルーピーやキッズは、とても滑稽な熱を放っている。憎しみや怒りが心の多くを占めているからこそ、この音楽とコミュニティの中では素直に愛を信じようという無邪気な幼児性が溢れている。 みんな、いい表情をしている。地下生活者の中にある「汚れた天使」の表情が溢れている。僕はワクワクした。ページをめくるだけで一瞬、僕はパンクの生き証人になれたんだから。何とかしなくちゃと、すぐに日本版に再編集して「destroy」をドロップした。結構、売れたんだ。そう、みんな「汚れた天使」に憧れてるんだから。 言うまでもなく、あの頃のパンク・シーンは天国だった。幻のような理想郷だった。シド・ヴィシャスもナンシーも、天国の居心地が良すぎて帰ってこれなくなったんだと僕は思っている。 この『デニス・モリス写真展 デストロイ-セックス・ピストルズの真実』は「天国の世界」だ。最高の幻だ。 ■好きな1曲 "Submission" 鹿野 淳(FACT) ライター&エディターを含め、プロデュースやコンピレーション・アルバム製作など、「ロックよろずや」として活動中。東京FM『discord』(木曜深夜25時より)のパーソナリティとしても活躍中。 ホームページはこちら
by supporters_blog
| 2004-12-08 12:34
| 写真展へのコメント
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