MASATO KANAI (from BIGMAMA) OFFICIAL BLOG

2002年東京にて結成。バイオリンを擁した5人編成のロックバンド。
2006年UK PROJECT内RX-RECORDSにて7月5日にミニアルバム「short films 」(RX-006)を発表。
同年10月、メンバーの脱退によりしばらくの間、活動を休止。
2007年2月10日恵比寿LIQUID ROOMにて新メンバー安井 英人(bass)、東出 真緒(violin)を迎え活動を再開。
2007年6月6日に3曲入りのシングル「BOYS DON' T FLY」(RX-011)、9月5日に2曲入り限定シングル「Neverland」(RX-013 Sold out)、 そして、待望の1stフルアルバム「Love and Leave」(RX-015)を発表し、25000枚以上のセールスを記録。
2008年9月17日には3rdシングル「Weekly Fairy Tale」(RX-022)をリリースし、オリコンインディーズチャート1位、オリコンシングルチャート初登場43位を獲得。
そして待望の2nd Album「Dowsing For The Future」を12月3日にリリースし、全国ツアー「ここ掘れワンワンツアー2009」を大成功させる。
2009年11月4日3rd Album「and yet it moves~正しい地球の廻し方」リリース。リリースツアーもSOLD OUT続出で、ファイナルの赤坂ブリッツを即日完売。
2010年10月にはロックとクラシックを融合させたコンセプトアルバム「Roclassick」をリリース。全曲ミュージックビデオを撮りおろすなど話題を呼び、オリコンウィークリーチャート初登場17位を獲得。
リリースツアーも大盛況で、12月25日のクリスマスには初の席有りホールライブを九段会館で行った。
2011年3月30日に渋谷AXで行われた「Roclassick」リリースツアーのグランドファイナルもチケットが即日完売。
5月08日には、BIGMAMAだけに母の日に自主企画兼チャリティーダブルヘッダーライブを行った。
7月に「秘密とLucy」、9月に「#DIV/0!」と初のLIVE DVD「〜母と行く、魅惑の映像世界の旅~」をリリース。
そして、2012年に4th ALBUM「君がまたブラウスのボタンを留めるまで」をリリース。



RELEASE INFORMATION
BIGMAMA
4th ALBUM
『君がまたブラウスのボタンを留めるまで』

2012.01.25 Release
RX-055 /
¥2,940(tax in)

〈収録曲〉
1. beautiful lie, beautiful smile
2. #DIV/0!
3. 最後の一口
4. until the blouse is buttoned up
5. 荒狂曲"シンセカイ" ~orchestra編~
6. Zoo at 2 a.m.
7. "Thank You" is "Fxxk You"
8. アリギリス
9. I'm Standing on the Scaffold
10. 週末思想 
11. 秘密
12. 母に贈る歌

BIGMAMA
3rd ALBUM
『秘密とLucy』

2011.07.06 Release
RX-048 /
¥1,050(tax in)

〈収録曲〉
1.秘密
2.Lucy


BIGMAMA
3rd ALBUM
『and yet, it moves
~正しい地球の廻し方~』

2009.11.4 Release
RX-032 /
¥2,520(tax in)

〈収録曲〉
1.Overture
2.かくれんぼ
3.I Don't Need a Time Machine
4.as one(2009/7/22)
5.No Way Out
6.Lovescape
7.Where's The Ring?
8.Accelerate
9.Broken Apart
10.The Right
11.ダイヤモンドリング(2035/09/02)
12.Roll It Over

最後の一口



「ねぇ、お兄ちゃん、”好き”と”愛してる”ってどう違うの?」




「聴いて、お兄ちゃん、リクちゃんに好きって言われたの。」

ヒナは母親にバレない様にこっそりと僕に耳打ちをした。

この春から姪っ子は、幼稚園に入園し、どうやらそこでの生活を充分に謳歌しているようだ。

「それでね、今度はリョウくんがね、ヒナの事、愛してるって言うの。」

「ねぇ、お兄ちゃん、”好き”と”愛してる”ってどう違うの?ねぇ、どっちの方がヒナの事幸せにしてくれるの?」

ピュアというものは時折”凶器”にも”狂気”にも感じられる。

姪っ子は小さなその両手の平で悩ましい顔を包み込む様に頬杖を付きながら、

僕の顔を穴がいくつも空くんじゃないかという程にじっと見つめている。

「さぁ、どっちだろうね。」

所為幼稚園児の恋愛話など、映画のオープニングでこの結末ってどうなるの?と聴かれるのと同じだと判断し、

適当な相づちであっさりその場を切り抜けるつもりだったが、

どうやらヒナは僕の事をそれで許してくれそうにもない。

答えに詰まった僕は、とりあえずコンビニデートへ誘い、

好きなアイスを買ってあげることでその場を切り抜けた。

お金で解決しようとするのは大人の悪い癖だ。

小さな子供と一緒に暮らす事を僕はまだ想像出来ないでいる。

一ヶ月と持たずに僕の顔も財布も胃袋も、

機関銃で打ち抜かれたかの様にどれもきっと穴だらけだ。


久しぶりに実家に帰ると、

時間がゆっくり流れている様な感覚に陥る。

実家のある駅は、丁度急行の電車が各駅に変わる境目にあり、

ここまでは急行を使って”急いで生きる人”が住んでいて、ここから先は各駅停車で”のんびり生きる人”が住んでいる。

時折そんな線引きを大袈裟にしているように思えてしまう事がある。

駅からの道のりでの人の歩くスピードや、会話のスピードから何まで、

全てがほんのちょっとずつスローモーションに感じられて、

日々自分が如何に生き急いでいるのかを、時に悲観的に、たまに誇らしくも思う。

急いで生き疲れては郊外のゆったりと流れる時間に浸りたくなって、

のんびりしては時折都会のスピード感に気後れする自分に嫌悪感を抱く。

結局どちらをとっても無い物ねだりなんだろうなと、定期的に堂々巡りをするだけなのだが。


電車にのって今住んでいる家に戻る時、彼女から連絡があった。

三つ年上の恋人は僕がこの会社で働く様になってから最初に出会った人だ。

新人研修のときの僕の指導係で、

大学を卒業するそのギリギリまで遊びほうけていた自分にとって、

スーツを着こなす女性はまず例外無く魅力的に見えたし、

丁寧な言葉遣いや気配りに、そのまま自分もついでに大人になったような気分も味わえて、

恋愛のいろはだけでなく、自尊心も満たして貰える所が良かった。


ただそんなぬるっとした感情で始まった恋愛も、

相手によってはそれもまた素晴らしくもなるもので、

時折目移りしてみるものの、結局は彼女を失う事を恐れて僕はその一線を踏み越えないまま今に至る。

何度もその白線が、滲んでは前後左右し、陣地取りのような争いを経ての話であるが。

彼女に愛想を尽かされそうになる度に、

僕は幾度と無くその線を消して、彼女の方に歩み寄っては、新しく線を引き直した。


急に明日が休みになったので、少し付き合えという誘いだった。

彼女の最近のトピックを一通り聴き終えた後に姪っ子の話をした。

“好き”と”愛してる”という違いや基準についてである。

余程の愛の伝道師、哲学者でもない限り、そんな答えをズバッと導きだせるはずも無く、

議論が堂々巡りを繰り返しているうちに、腹は満たされ、酔いもまわった。

ラストオーダーを、と店員が尋ねると、彼女がメニューのスイーツの欄ををみながら悩んでいる。

どちらか決めかねているようだ。

「決められないなら、僕も食べるから、好きなの2つ選びなよ。」

時折女性にはスイーツに対して執念のようなものを感じるが、

おそらく僕を筆頭に男性は皆ドライだ。実の所、甘ければ何でも良いのである。


彼女は僕の言動を気遣いだと素敵に勘違いし、

運ばれてきたケーキを嬉しそうに写真とった後に、いざ、実食。

しばらく無言で2つのケーキを交互につつく時間が続いた。

フォークが食器にあたる音と、コーヒーカップを受け皿に置く音以外にあまり音は無く、

今まで聴こえていなかった店内のBGMがうっすらとその隙間に聴こえてくるだけだ。

決して口コミサイトで評判であったり、見かけが特別なケーキではないのだが、

目の前の人間が美味しくものを含めて、僕はなんだかとても美味しく思えていた。

気付けば、残すところは最後の一口。

僕はまだ少し胃袋に余裕があったが、

おそらく彼女も同じ気持ちだろうと思い、

最後の一口を自然と彼女の口元に差し出していた。


美味しいそうに頬張る彼女のその表情に見とれながら、

僕は自分にとっての愛の形がなんとなくわかったような気がしていた。


所為”愛”の表現の仕方や、その”定義”の仕方なんてものは十人十色、ウン十億人のウン十億色、

人それぞれあってしかるべきだと思う。

僕の場合、次に姪っ子会った時にはこんな気持ちだと話そうと思う。まだその話題に興味があればの話だが。


最後の一口。


BIGMAMA   金井政人

※この物語は"最後の一口"から創作されています。



by emm_bigmama | 2014-04-25 20:01 | Comments(29)
Commented by 7 at 2014-04-25 20:18 x
世界観がめっちゃすきです。
ヒナとコンビニにいくとこを
コンビニデートってゆうとこが
なんかほっこりしました。

わたしは愛してるがよくわからないです
これから愛してるって思える人に出会えたらいいなとおもいます。

最後の一口がなんかますます好きになりました。
Commented by かすみんち at 2014-04-25 20:28 x
わたしは小さい時に
好きと愛してるは
どっちのほうがしあわせ?
って聞いたことがあって
それを思い出しました。

このお話を読んでから最後の一口を聞いました。同じ曲のはずなのに違って聴こえたように思いました。

金井さんの紡ぐことばがだいすきです。
どこからでてくるのか、頭の中を覗き見てみたいです。笑

金井さんの頭の中にあるストーリーを文字にしてほしいです。
このお話も、いつものブログやトーク、えほんとに素敵です。

「最後の一口」がわたしの中でよりいっそう愛しいものになりました。
Commented by 小鹿 at 2014-04-25 20:28 x
文才あって羨ましいです
短篇集出たら買いますわ
Commented by たか at 2014-04-25 20:29 x
この記事を読みながら後の一口を頭んなかでリピートしてました笑
金井さん!ぜひ最後の一口のPVを!!笑
母の日のRoclassic ツアー待ち遠しいです。
BIGMAMA にしか出来ないくっそ最高なライブを楽しみにしてます。
Commented by なみ at 2014-04-25 20:31 x
言葉で定義付けするのもいいけど、相手の幸せそうな顔みて、"いいな"って思えるくらいがちょうどいいのしかもしれないですね
そう考えると少しは楽になれそーです

最後の一口がもっと好きになりました꒰*´∀`*꒱
Commented by ゆぃりん at 2014-04-25 20:31 x
最後の一口

初めて聴いたときからかわいくてメロディもキャッチーで好きな曲♡
だったけど、ライナーノーツ読んでさらに好きになりました!

子供のどうして?なんで?ってふと大人になって気にしなくなったコトを見直しというか、改めて出会わせてくれるような(˘ω˘)


そして、王子の書く詞大好きで、小説とかならないかな。でも忙しいよね...
って思ってたら...♡
話の進め方が好きで、続きが気になる!って読み手を煽って、次がまた恋しくなって...

他のもいつか見れるかな?楽しみにしてます!!
Commented by ちひろ at 2014-04-25 20:48 x
素敵!金井さん…幸せな溜息がでます。
Commented by もも at 2014-04-25 20:50 x
「最後の一口」は、MAMAの中でもベスト5くらいに入るほど好きな曲です。
去年のレディオクレイジーのリハでやってくれたときは震えるほど嬉しかったです。
日常を大切にしようと思える、優しい歌ですね。大好きです。
Commented by みき at 2014-04-25 20:52 x
最後の一口の物語。というより、私は金井さんが最後の一口を作るきっかけになった実話に感じます。
姪っ子さんの流れは実話ですよね。
金井さんの作る物語でも実話でも、読んでいて聞いていて楽しいです。少し知ることができ嬉しいです。
これからもブログ更新楽しみにしてます!
Commented by くみ at 2014-04-25 20:57 x
なんて素敵な物語を書くのでしょう?
情景が浮かんで、いちいち浸ってしまいました。
Commented by えりんぎ at 2014-04-25 21:09 x
金井さん流石ですね。
素敵な物語、、、(*^^*)
他の曲も是非お願いします〜!
読んでから改めて「最後の一口」を聴くと益々好きな曲になりました!♡
Commented by きょん at 2014-04-25 21:16 x
最後の一口、歌詞にとてもきゅんきゅんします。
アコースティックのイベントできくようになってから、またこうして金井さんの文章を通してますます好きになっていきます。
こうしてどんどん好きな曲が増えていく所がBIGMAMAっぽいです。
BIGMAMAの曲、インタビュー、ブログどれも私の楽しみのひとつです。いつもありがとうございます。
この気持ちはライブに持っていきますね。
Commented by ぬんぬん at 2014-04-25 21:24 x
愛の形は十人十色、という部分がとてもしっくりして、じんわり心が温かくなりました。大切な人を、より大切にしたい…そう思わせていただきました。
その人と、母の日のツアーに参加させていただきます。とても楽しみにしております。皆様お身体に気をつけてください。
Commented by 史織。 at 2014-04-25 22:21 x
なんだか心がホッコリしました。
このお話大好きです。
そして金井さんの曲の歌詞や書き物、インタビューなどの言葉回しや言葉使いがとても大好きです(*´꒳`*)

愛してる。の意味を何となく知ったのは、最後の一口を初めて聴いた時で。
その時の事を思い出しました。
愛の考え方って色々やと思いますが、私の中ではあの曲の感じが1番近いって感じてます(*^^*)

もう一回、最後の一口を聴きながらこのブログを読んでみたいと思います!
Commented by ゆりゆり at 2014-04-25 22:40 x
姪っ子ちゃんとの最後の一口エピソード、ほっこり(*˘︶˘*).。.:*♡
これからも曲のエピソードブログ、楽しみにしてます♪
Commented by y at 2014-04-25 22:52 x
物語、すごいです。
読んだ後に聴いた最後の一口が
また違った感じにきこえるようになりました。
曲と同時に頭の中で物語の情景がでてきて
歌詞がもっと深くなったなと思いました。
他の楽曲も物語にしてほしいです(*^^*)

Commented by ましお at 2014-04-26 00:18 x
やっぱり好きです。金井さんワールド。
ほんとになんだか引き込まれるなあ〜
Commented by ありま at 2014-04-26 01:07 x
幸せな空気の曲で大好きです
ラジオでやっていたりライブでやっていたりするアコースティックも大好きです(^^)

アコースティックアルバムとかどうですかね〜笑
Commented by みちょん at 2014-04-26 01:13 x
こういうの、すごく待ってました♡
MAMAの、金井さんの、何が良いかって、曲の歌詞の背景が知れて、新しい解釈を加えられて、さらにこうやって素敵な物語が生まれるところです。本当に素敵です。好きです。
好きな曲のストーリが知れて、幸せです(*´ω`*)
Commented by mylove0314 at 2014-04-26 01:22
金井さん、私この曲を聞くと、初恋の人を思い出します。金井さんの歌詞の世界観大好きです。もし金井さんが小説やエッセイを出版したら絶対に買いたいぐらい金井さんの言葉大好きです。
Commented by SaoRi at 2014-04-26 02:14 x
ブログ、MUSICAの連載、MC 、もちろん曲たち 。
金井さんから発せられることば、文章がとてもだいすきなのですが、今回特に
心を鷲掴みにされました。
心を掴んで離さないような、そんな特別な力を感じました。

他の物語も是非読んでみたいです。(´-`)
Commented by kumi at 2014-04-26 02:43 x
金井さんの描く世界が好きです♡
ブログ読んで最後の一口がますます好きになりました(^O^)
他の物語もぜひ書いてほしいです♡
Commented by りえ at 2014-04-26 07:46 x
最後の一口聴きたいなと思って電車で聴いていたらこのブログで、なんてタイミングなんだろうと思いました。
読んでいてとてもほっこりな気分の土曜の朝です。
今日もお仕事頑張れそうです。ありがとうございます。
母の日は行けなくなってしまったけど、7月は必ず行きます。
いつも頑張る理由をありがとうございます。

いってきます!
Commented by machim5 at 2014-04-26 10:02
素敵な物語にキュンキュンしました。
金井さんの書く文章や 話す言葉って
いつも丁寧で優しくて、すごく好きです。
言葉づかいが丁寧な男性って
やっぱり素敵だなあと思います。
最後の一口が より好きになりました◎
ぜひ他の曲の物語も 読みたいです(*^_^*)
いつかエッセイ本とか出して欲しい…!!
Commented by のん at 2014-04-26 11:10 x
何度もリピートするくらいに好きな曲なので、物語になって嬉しいです(^ω^)
Commented by yuzu-exc at 2014-04-29 11:21
姪っ子ちゃんはどんな恋愛をしていくのかな。金井さんの脳内にある物語。いつかダイアモンドリングも読みたいです。私的に泣く覚悟を持って読みます。金井さんの中では泣く話じゃないかもしれないけど、あたしにとっては妄想も含めてとても大切な曲になってしまっているので。いつか機会があればよろしくお願い致します。
Commented by 田仲まぐろ at 2014-05-03 19:39 x
ふふふ。
素敵。

ふふふ。。。
Commented by カンナ at 2014-05-04 00:36 x
もっと、読みたくなりました!金井さんはほんとに最後の一口が好きなんですね(笑)。私も好きです。歌詞からできたストーリー素敵です。
Commented by とも at 2014-05-09 17:02 x
金井さんこんにちは♪

金井さんの書く文章とても好きです。
なんというか上手く言えないのですが、
すごく好きです!
読めて嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ