execitemusic
本レーベルは、Excite Music Store及びモバイルコロムビア上で先行独占展開され、配信される楽曲は、国内で入手が困難な高いクオリティのアイスランド楽曲を幅広いジャンルで集めていきます。
レーベルリリースの第1弾は、ヨーロッパでは名高いアイスランドJAZZを展開、第2弾は、アイスランドPOPS、第3弾は、アイスランドクラブミュージックを展開していく予定です。
小倉悠加
(おぐらゆうか Yuka Ogura)
70年代半ば洋楽に目覚め、単身アメリカへ留学。大学時代から来日アーティストの通訳に従事し、レコード会社勤務を経てフリーに。以来、音楽業界で幅広く活動。カーペンターズの解説の殆どを書いているためカーペンターズ研究家と呼ばれることも。2004年自らアイスランドの音楽を扱うアリヨス・エンタテイメントを設立。ミュージック・ペンクラブ会員。
小倉悠加

マイケル・ジャクソンとカレン・カーペンターを結ぶジョン・ベティス
 昨日、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を見てきました。今回は久々にアイスランドに無関係です。

 個人的な感想のお裾分けです。多分、こういう視点を公に伝えられるのは私くらいかなぁと思って・・・(大げさでしょうか)。

 私はカーペンターズのオリジナル・アルバムの解説を全て書き、本も出し、カーペンターズ特集のテレビやラジオの番組等にも関わることが多く、これに関しては自他共に、日本一の存在であろうと認めるところです。また、マイケルのアルバム『BAD』の対訳したのも私です(あぁあの対訳はやり直したい・・・)。
 そんな御縁もあるため、今回はアイスランドから外れますが、お許しを。
***

 マイケル・ジャクソンがいかに天才的であったかは、もう語り尽くされていますね。天才は非凡であり、非凡な存在であるからこそ注目されましょうが、良くも悪くも理解されない事態も起きてきます。
 マイケルも理解されないことが多く、唯一、多くの人々から、それも桁外れに、愛され、尊敬されたのが、パフォーマーとしての彼でした。

 映画『THIS IS IT』は、幻となったマイケルの公演のリハーサル風景を映画にしたもので、ファンが聴きたい曲をマイケルが歌うのが公演内容なので、ヒット曲満載です。
 マイケルの歌や踊りを集中して見てほしいという意図もあるのか、歌の歌詞は訳として出て来ません。あえて訳す必用はないだろうと思える曲もあれば、これは訳して欲しかったと思う曲も。

 訳してもよかったのではと思われた曲の代表は、アルバム『スリラー』に収録されていた「Human Nature」です。内容はこんな感じ(以下、訳は小倉)。

 僕を連れ出しておくれよ
 夜の時間へと
 今夜、四面の壁も僕を閉じこめておけない
 この街がほんとにリンゴならば
 囓ってみたいな

 なぜ、なぜ、と聞かれたら
 それは人間の自然な姿だからと言おう
 なぜ、なぜ、
 なぜ神様は僕をそんな風にするのか

 
 この曲が発表されたのは83年のことで、マイケルがまだ二十代前半。幼い頃からショービジネス界にいて、ホテル暮らしは慣れているとは言え、普通に街に出て遊びたい盛りだったことでしょう。その心情が、この曲に素直に描写されています。なのでマイケルも気に入っていたことでしょう。

 これを書いたのは曲がTOTOのスティーブ・ポーカロで、歌詞はジョン・ベティス。ン?ジョン・ベティス??

 私はアメリカン・ポップス・ファンとして、ごく普通に当時『スリラー』を聴いていて、あまりにも人気がありすぎて、特にこれといった興味は持たず、当然クインシー一派で作ったのだろうと思っていました。
 当時「スリラー」のビデオが話題になり(MTV時代の幕開け)、「ビリー・ジーン」の内容は実話なのか?と話題になり、若者らしい「ビート・イット」も人気で、この「ヒューマン・ネイチャー」はごく大人しい曲としてアルバムの隅に行儀良く納められていた印象でした(後にシングルにもなりましたが)。

 なので、クレジットを見たのは、アルバム発売後ずっと後のこと。

 ジョン・ベティスというのは、カーペンターズの大ヒット曲、「イエスタデイ・ワンス・モア」、「トップ・オブ・ザ・ワールド」等の歌詞を書いた人で、リチャード・カーペンターとジョンは学生時代の友人。ディズニーランドで共にバイトしたり、カーペンターズの前身となったスペクトラムというバンドを結成したりと、カーペンターズからジョンのキャリアは始まっています。

 で、(15年くらい前??)ジョンにインタビューした時に「ところで、マイケルの「ヒューマン・ネイチャー」の歌詞のジョン・ベティスって、あなたですか?」と尋ねたところ、間違いない、と。
 この曲が『スリラー』に収録された後、歌詞を書いてくれというリクエストが尋常ではなく、生活が無茶苦茶になった、ということも話してくれました。

 カレン・カーペンターが一番好きだったのが、リチャードが曲を書き、ジョン・ベティスが歌詞をつけた「青春の輝き」でした。

 わかっているわ、 私は恋をするべきね
 わかっているわ、私は時間を無駄にしすぎたこと
 そうよ、私は不完全な世界に完璧を求めてる
 そして おばかさんなことに
 それが見つかると思っている


 あまりにも忙しすぎて、音楽以外のことをする時間のなかったカレンと、リチャードと、そしてジョン自身の自叙伝でもあると言われる曲です。

 昨日、マイケルが「ヒューマン・ネイチャー」を歌う姿を見ながら、私はマイケルとカレンの共通点を見ていたような気がします。エルビスも、ビートルズも、みな同じだったかもしれません。

 ジョンがカレンの自叙伝を書き、またマイケルにもこんな曲を提供していたのは奇遇なのか・・・。映画の最後の最後にも再度「Human Nature」が使われていて、マイケルのこの曲に対する思い入れを感じ、音楽ファンのみなさまに、カレン・カーペンターが一番好きだった曲も、マイケルがとても大切に歌っていた曲も、ジョン・ベティスの作品であったことをお伝えしなければと思った次第です。

 泣いても嘆いてもカレンは帰ってこなかったし、マイケルもまた、帰ってこないことでしょう。彼らがこの世から居なくなったことを嘆くより、この世に残してくれた作品に感謝して、大切に楽しませてもらうことにします。

 ちなみに私がマイケルの死を知ったのは、6月末にアイスランドへ行った時、飛行機が着陸するやいなや、乗客の誰かが「Micheal Jackson is dead」と言ったのを聞いた時でした。(小倉悠加/Yuka Ogura)



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by icelandia | 2009-11-26 18:25 | 何となく書きたいから | Trackback | Comments(1)
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Commented by マイケルファン at 2009-12-04 11:44 x
素敵なブログですね
ありがとう
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